被災した時こそ盗難対策を忘れずに
2024年1月の能登半島地震や8月の宮崎県日向灘を震源とする地震、また台風10号による被害など近年頻繁に数十年、数百年に一度と言われるような自然災害が発生しています。災害時はまず安全な場所に避難をすることは大切ですが、被災した時こそ警戒を強めなければいけないことがあります。
震災などの災害時の女性や子供への被害とその対策については「震災後は特に女性や子どもの被害事件が起きやすい?気をつけておきたい3つの対策事項」でお伝えしましたので、今回は災害時の盗難対策について紹介していきます。
避難するときこそ盗難への警戒を
災害時は避難所などに避難をされる方が殆どで、皆が大変な時だからこそ、力を合わせたり、譲り合ったりと人との支え合いをしながら被災地で過ごしています。しかし残念な事に、そのような大変な時を利用して「火事場泥棒(混乱に紛れ込んで泥棒行為をすること)」等の犯罪が発生する事も事実です。
住人が避難した後の自宅での被害
家にそのまま住んでいることが危険な場合、住民は家を離れて避難所などに避難をします。その際、例えば倒壊してしまいそうな住宅等は無施錠になっている事が多く、空き巣などの侵入が容易になっている事が多いです。
災害が大きければ大きいほど、安否不明者の捜索や救助活動等、優先事項を多く抱えている警察や地域等の防犯意識は普段より低くなっているため、侵入・窃盗をしても捕まるリスクが低く、平時の犯罪抑止力として有効なセコムやALSOKといったホームセキュリティも、停電が生じていたりそもそも被災地のインフラが破壊されていたりする場合は役に立ちません。
また金品等の貴重品を持ちだす暇なく避難を余儀なくされる人もいる為、住人が避難している住宅を狙った空き巣は発生しやすく、同時に家の自動車や店舗などでの窃盗も災害時は増加する傾向にあります。
避難所でも気を抜かない
被災後の人気のない自宅や車でだけではなく、多くの人が避難生活をおくる避難所でも盗難などの犯罪が増える傾向にあります。空き巣対策として、避難をする際にできるだけ大切な貴重品を持って避難所に向かっても、それらが盗まれてしまっては意味がありません。避難所でも、貴重品の取り扱いには十分に気を付けましょう。
火事場泥棒に遭わないようにするには
避難時の空き巣対策
以前「防犯の基本!窓や玄関の戸締り」で紹介したように、空き巣等の侵入窃盗の被害に遭わないようにする為に重要なのは戸締りをしっかりとすることです。それは避難する時でも変わりません。
しかし、戸締り等に時間がかかり避難が遅れ、津波や火災・土砂災害等に巻き込まれては本末転倒です。余裕がない場合は何よりも避難行動を優先しましょう。また水害に備えた事前避難など、避難のタイミングを自分で決められるような場合は、早めに行動を開始し、戸締まりも厳重にすることが重要です。
また災害に備えて自宅でしっかりと準備をしていても、職場や学校・休日の外出など自宅以外の場所で被災する可能性もあります。普段から外出する時点で戸締りはしっかりと行い、もしも外出先で被災した時は避難行動を優先し、一時帰宅ができる状態になってから貴重品等の持ち出し、ブレーカーを落とす、ガスの元栓を閉める等の行動をし、再度戸締りを確認してから避難しましょう。
平時の防犯対策である「二重ロック」「外回りの整理」「窓ガラスに防犯フィルムを貼る」といった準備は被災時でも有効です。特にガラス破りを防ぐための防犯フィルムは、地震等によるガラスの飛散防止にも役立ちます。
避難所での盗難対策
町の避難所等だと顔見知りの人が周囲にいるから大丈夫と感じてしまうかもしれませんが油断は禁物です。ストレスがたまる避難所生活では、目に付くところに現金や財布等の貴重品が置いてある場合、その気がなくとも犯行に及んでしまう場合もあります。自分の荷物から少し離れるだけ、遠くからでも見えるといった時でも、貴重品等の絶対に盗られたら困る物は、ウエストポーチやショルダーバックなどを利用して24時間肌身離さず身に付けるようにしましょう。遠くから見えても、傍にいなければ被害は防げません。
また、家から持って来た物品だけでなく、支給された物品にもできるだけ名前を書くようにしましょう。自分の物に名前を書くことで、盗難防止だけでなく、悪意のない取り間違え等の不必要な争いを避けることができるので、避難する際は配られたものに目印を書き込めるようにマジックペンを用意しておくのも有効です。
まとめ
警察や民間の警備会社が正常に機能していない被災地では人目に付く可能性も低いため、窃盗犯が本気で住宅を狙いに来ると完全に防ぐことは不可能になります。
盗まれてはならない貴重品は持って逃げることが一番重要ですが、突然被災し避難する場合、ゆっくり準備できることはまずないと思います。いざという時に素早く貴重品を持ち出せるよう、非常時に持ちだす物の位置を把握しておく等、日頃から心構えと準備をしておきましょう。